居合道は、日本刀を用いて身を護り敵を倒す心技の修錬を通して、旺盛な気力と強靭な体躯を養う剣道修行の一つです。剣道は「立会」と言って、両者離れて刀を抜いてから次第に近づき勝負を決するのですが、「居合」は座している時も、歩行している場合も、その場に居たまま抜刀の瞬間に勝負を決することからこの名が付けられました。したがって「鞘放れの一刀」が生命であります。
居合道の修錬方法は通常「型稽古」を反復して行います。技の上の「敵」は「仮想の敵」であり、仮想敵を「自分の心(自我)」に見立て、「自我を斬り、自我を殺す」ことが精神修養になります。
居合道修行の目的は、「鞘のうちに勝ちを秘め、刀を抜かずして敵を制することが出来る程の武徳を養う」ことにあります。したがって、他人を攻撃し、殺めることが目的ではなく、信義を尊び、礼節を重んじ、秩序を保つことで、戦わずして彼我共に相和し、もって広く人類の平和と繁栄に寄与することが究極の目的であります。したがって、絶えず己の心、胆力を練り磨き、事を未然に防ぐ修養が何よりも肝要であり、このことは日本武士道の精神(活人剣)、現代では全日本剣道連盟が掲げる剣道の理念(「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」)に合致します。
居合の起源は古く奈良朝あるいは平安時代初期にその芽生えがあると思われます。また、古来各流の剣術、柔術等に付随した抜刀術がありますが、上記に述べた居合道はそれら剣術に付随した抜刀術とは異なり、独立した独特の武術居合として創造され、発達してきたものであって、戦国時代の武将林崎甚助重信(1540年頃の生まれ)を居合各流の始祖としています。
全身を使って大きく伸び伸びと日本刀を振ることで心筋が鍛えられ、しかも自身の技量に合わせて速度やペースを変えられるので体に無理が掛かりません。たとえ短い時間でも毎日継続的に行えば極めて効果的な健康法となります。